退職を決意した際、会社に提出する書類のひとつが**「退職願」**です。
この退職願には退職理由を記載する必要がありますが、一般的には「一身上の都合により」と書くのが基本です。
しかし、「一身上の都合」以外にどのような理由があるのか、また、どういったケースで異なる表現を用いるべきなのかを理解しておくことは重要です。
本記事では、退職願の正しい書き方や注意点を、自己都合退職・会社都合退職の違いを踏まえて詳しく解説します。
退職願とは?
退職願と退職届の違い
まず、**「退職願」と「退職届」**の違いを理解しておきましょう。
書類名 | 意味 | 取り消し可否 |
---|---|---|
退職願 | 会社に対して「退職したい」という意思を伝える書類 | 可能(会社が受理するまでは撤回できる) |
退職届 | 会社に対して「退職する」ことを正式に通知する書類 | 不可(受理されたら撤回不可) |
一般的に、会社の就業規則で「退職する際は退職願を提出すること」と定められている場合が多く、退職願の提出後、会社が受理すると正式に退職手続きへ進みます。
退職理由の種類
退職理由は、**「自己都合退職」と「会社都合退職」**の2種類に分類されます。
1. 自己都合退職
自己都合退職とは、従業員が自らの意思で退職することを指します。
主な理由としては、以下のようなものがあります。
- キャリアアップ・転職(より良い条件の職場へ移りたい、スキルアップしたい)
- 独立・起業(自分のビジネスを始めるために退職)
- 結婚・出産・育児(家庭の事情により仕事を辞める)
- 病気・ケガ(健康上の理由で業務が困難になる)
- 介護(親や家族の介護が必要になる)
- 転居(家族の転勤や引っ越しで通勤が難しくなる)
自己都合退職の場合、退職願には「一身上の都合により退職いたします」と書くのが一般的です。
ポイント!
退職願には細かい理由を書く必要はありません。例えば、「親の介護のため」や「体調不良のため」と具体的に書くと、会社から詳細な説明を求められたり、受理を遅らされたりする可能性があるため、「一身上の都合」と記載するのが無難です。
2. 会社都合退職
会社都合退職とは、会社側の事情によって退職することを指します。
主な理由としては、以下のようなものがあります。
- 倒産・事業縮小(会社の経営悪化により退職を余儀なくされる)
- リストラ・整理解雇(経営合理化のために退職を求められる)
- 解雇(従業員の勤務態度や業績不良などを理由に解雇される)
- 希望退職制度の適用(会社が自主退職を募り、それに応じる)
- セクハラ・パワハラ・職場いじめ(職場環境が悪化し、働くことが困難になる)
- 違法な労働環境(残業代未払い・違法な長時間労働などにより退職せざるを得ない)
会社都合退職の場合、退職願ではなく、会社が用意した「退職届」や「解雇通知書」などの書類を使用することが一般的です。
また、自己都合退職とは異なり、失業保険の給付条件などに大きく影響するため、会社都合に該当するかどうかを正確に確認することが重要です。
会社都合退職にできるケース
以下のような理由で退職する場合、本来は会社都合退職として扱われるべきケースがあります。
1. セクハラ・パワハラ・職場いじめ
職場でのハラスメントが原因で退職する場合、適切な証拠があれば会社都合退職として認められる可能性があります。
証拠を確保する方法
- 音声録音(スマートフォンの録音アプリを活用)
- メール・チャット履歴(上司や同僚とのやり取りを保存)
- 診断書(精神的なストレスで病院にかかった場合、診断書を取得)
また、労働基準監督署や労働局に相談することで、会社都合として扱われるよう指導してもらうことが可能です。
2. 違法な労働環境(長時間労働・残業代未払い)
労働基準法違反が原因で退職する場合も、会社都合として認められるケースがあります。
証拠を確保する方法
- タイムカードの記録(出勤・退勤時間が分かるものを保存)
- 給与明細(未払い残業代があるか確認)
- 労働契約書のコピー(雇用条件が守られているか確認)
違法労働の証拠が揃っていれば、労働基準監督署に相談し、会社都合退職として認められるよう手続きを進めることができます。
退職願の正しい書き方
1. 基本フォーマット
〈退職願の記入例〉
退職願
令和◯年◯月◯日
株式会社◯◯
代表取締役 ◯◯ ◯◯ 殿
私こと、このたび一身上の都合により、
令和◯年◯月◯日をもちまして退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
敬具
氏名 ◯◯ ◯◯(印)
〈ポイント〉
✅ 退職理由は「一身上の都合」と記載
✅ 提出日は退職希望日の1カ月以上前が望ましい
✅ 社長または代表者宛に提出
まとめ
1. 退職願の理由は「一身上の都合」で統一するのが基本
個人的な理由での退職(転職・家庭の事情・健康上の理由など)は「一身上の都合」と記載するのが一般的。
2. 会社都合退職の場合は証拠を確保する
セクハラ・パワハラ・違法労働などが原因で退職する場合は、証拠を集めて労働基準監督署に相談し、会社都合退職として認めてもらいましょう。セクハラ、パワハラ、いじめ、就業違反等は自己都合ですまさず、労働基準監督署へ相談してください。
3. 書類の書き方に注意
退職願と退職届は異なるため、正しいフォーマットで提出することが重要。
これから退職を考えている方は、適切な書き方と手続きを理解し、スムーズな退職を目指しましょう。
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